blog non grata

人生どうでも飯田橋

タクシー運転手の趣味

 この世の疲れという疲れ、森羅万象の疲れを全て引き受けていたので、昨夜は新横浜駅から自宅までタクシーで帰宅した。ワンメーターの距離ではあるが。

 タクシーの後部座席には、運転手の名前とともによく趣味が書かれている。あれはなんなんだろう。何を話せばいいか困った時に「そういえば運転手さん、釣りが好きみたいですね」みたいにこちらから話を触れるネタを与えてくれる、いわば婚活パーティのプロフィール的な役割であろうか。いや、それはない。運転手と積極的に話したい人は、そのような趣味の欄がなくても、自らしたい話を始めるだろうし、別にその欲求がない人は、そんなことが書かれようが書かれまいが話しかけにはいかないだろう。

 この趣味の欄は、おそらく「こんな趣味を持っている、血の通った人間味溢れるひとが運転している安心なタクシーです。」というアピールだと思う。いわばCAPTCHA的な役割だ。もうすぐ、AIが運転する時代が来るかもしれないし、そういう意味で、人間アピールは大事だ。しかし、そのアピールにしてはあまりにありふれてしまっている。ゴルフ、ゴルフ、一台飛ばしてゴルフ、ゴルフ。だいたいがゴルフ。あるいはそうではなくても釣りか野球観戦あたりが関の山だ。これではすぐにAIに学習されてしまう。

 そんな中、昨日の運転手の趣味は「孫と将棋」。最高にかわいい。これは最高に血が通っていますぞ。「お孫さんいるんですね!」と話しかけるには疲れすぎていたけど、いい1日の終わりだった。

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