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人生どうでも飯田橋

熱き星たちよ

 ベイスターズが衝撃的に弱いが、なんだか自然といやな気持ちはしない。もちろん悔しい気持ちもあるが、あの頃のベイスターズが帰ってきたという感じがしてちょっと面白い。ベイスターズを一番応援していたのは2007年から2013年あたりで、牛島監督時代から、DeNAになり中畑監督が就任した初期の頃までだ。これは多分に認知バイアスがあるんだろうとは思うが、あの頃はかなり面白かった。特に6年ぶりに最下位を脱した2013年のベイスターズ(64勝79敗の5位)はプロ野球史上最も面白いチームだったし、あの一年だけ所属していたナイジャー・モーガンプロ野球史上最も面白い外国人選手だった。

 それ以降は横浜を離れてしまったのでスタジアムに行く機会も減った。一方でベイスターズは強くなった(弱くなくなった)。ドラフトで指名する大卒投手がすぐに活躍し始めたり、主力が放出されても生え抜き選手が穴埋めしたり、同じベイスターズとは思えなかった。優勝争いこそできなかったが、2015年は12連敗する直前までは首位を疾走していた。次の年はCSにも出たし、その次の年は日本シリーズソフトバンクとも善戦した。

 ところが久々に神奈川に戻ると、だんだん弱くなっていき、今年は再び最弱チームになっていた。打者ひとりひとりはそんなに悪くないけど、点は大して取れないし、先発陣が壊滅的というのもあの頃とそっくりだ。弱いチームは全てそんなもんなのかも知れないが。

 あの頃は毎年「今年の横浜は違う」みたいなことを言われていたが、毎年同じだった。加賀美と眞下がいれば10年は先発陣は安泰だと思っていたけど、加賀美は通算5勝しかしなかったし、眞下はプロ初先発初勝利が最後の勝利だった。日本ハムからグリンをとった時は、日本シリーズでも投げてるめっちゃ大物が来た!と思ったけれど、3勝15敗だった。巨人から尾花ピッチングコーチを招聘して、ロッテから清水と橋本将と早川が来て、日本ハムからスレッジが来たときは、こんなに大補強して優勝しちゃうんじゃないのかと思ったけど、結局ダントツ最下位だった。内川が去った2011年は、もはや「今年の横浜は違う」とも言われなかった。あんまり記憶がないが、調べてみるとWikipediaに「4月は5勝10敗の借金5と健闘するも」と書いてあった。それは健闘しているのだろうか。

 でもあの頃の一勝は優勝してるのと同等くらいに嬉しかった。(まあ、物心ついてから優勝を経験したことがないのでそんな喜びは知らないのだが。)当時生まれた「横浜優勝」という言葉もそんな自虐からきている。どんな大逆転を許しても、ひどいエラーで負けても、たまに来る勝利はそのぶん格別だった。浜スタで見たクルーンから打ったハーパーのサヨナラ満塁ホームランは忘れられない。あの一勝があれば何連敗したっていいと思えた。これがあるからこのチームのファンをやっているんだと思えた。またそういう一勝がまた来ればいいと思う。いやもちろん優勝してほしい。してほしいけど。

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横浜・ハーパー 逆転サヨナラ満塁弾 2010/07/18 - ニコニコ動画