blog non grata

人生どうでも飯田橋

Innocent When You Dream

ふと、ブログを再開しようと思った。まあ元から「やっていた」といえるほどやっていたわけではないけど。同じブログを書くのも違うなと思い、Tumblrを初めてみた。ことさら書くことがあったわけではないが、何かを書いて公開するということがしたかった。

クリスマスイブの深夜に放送されたJ-WAVEの「沢木耕太郎 〜MIDNIGHT EXPRESS 天涯へ〜」をradikoのタイムフリーで今朝聴いた。

物心ついたころからずっと、毎年クリスマスイブの深夜に放送されている番組で、高校生くらいの頃から2年に1回は聴いていると思う。沢木耕太郎の軽やかな語り口がとても心地よい。深夜にこれを聴いたら途中で上瞼と下瞼が仲良くなっていくこと間違いなしの優しい声だ。HARPERS BIZARREにceroエルヴィス・コステロキリンジ。かかる曲もいい感じ。

そして、番組のエンディングに流れたトム・ウェイツの Innocent when you dreamがクリスマスイブの深夜の最後に聴くに格好の曲で、とても哀愁深かった。僕の葬式の際は、これを流してほしい。そしてみんな僕の笑顔を思い出して涙してくれ。

冗談はさておき、この、Innocent when you dream という曲は調べてみると「スモーク」という映画のエンディングらしく、さっそく「スモーク」を見てみた。

あらすじは割愛するけれど、いい映画だった。たばこを吸うオヤジ達がかっこよくて、僕もつい、半年ぶりに一服してしまった。ただやっぱり個人的には、映画の本編以上に、Innocent when you dreamをバックになされた最後のオーギーのクリスマスの思い出話が、たばこの味みたいにほろ苦く、大好きだ。


主人公はタバコ屋の店主オーギー・レン。クリスマスに振られて独りのオーギーと、盲目の老婆の物語。オーギーは、以前から持っていた万引き少年の落とした財布を、思い付きで届けに行く。行った先のアパートでは、老婆が出迎える。彼女はオーギーを孫だと勘違いし、オーギーもそれに乗っかり、孫を装う。彼女は信じて喜ぶけれど、おそらくオーギーの嘘には気づいてる。2人は寂しくも楽しいクリスマスの一時を過ごす。やがて老婆が眠りにつくと、オーギーは、過ちを重ねてしまう。本当の孫である万引き少年が盗んだであろうカメラを盗み、その家を後にしてしまうのだ。後ろめたさから後日返しに行くと、そこには新しい家族が暮らしていた。彼女は亡くなってしまったのであろう。それからオーギーはそのカメラで、自分のタバコ屋の角の写真を毎日撮るようになる。


歳をとるにつれて(いや歳のせいかはわからないけれど)、楽し気なクリスマスソングを聴くのがつらくなってきて、聴く機会が減った。ただ、このInnocent when you dreamに出会い、自分の中で最高のクリスマスソングとして、はっきりと心に刻まれた。毎年クリスマスになると、この「スモーク」という映画、そしてしゃがれ声のトム・ウェイツの「Innocent when you dream」を思い出すだろう。