blog non grata

人生どうでも飯田橋

R.I.P. Wilko Johnson

     大好きだったウィルコ・ジョンソンが21日に死んだ。75歳。末期の膵臓癌の宣告(のちに末期癌でなかったことが判明した)を受けてからもう10年くらい経つだろうか。本当に悲しい。アベフトシもミック・グリーンもウィルコ・ジョンソンもこの世にはいない。何度も日本に来てくれて良かった。生で見ることができて本当によかった。ありがとう。安らかに。

 

 以下、僕の見た、最初で最後となったウィルコ・ジョンソンのライブ(2017年10月13日@梅田クラブクワトロ)を見た翌々日、2017年10月15日にFacebookにあげた文章。

 お久しぶりです。最近ベンザブロックの「かぜぐすリリック!」が頭から離れない中村です。
 昨日の夜ついに、件の(と言っても2年以上前の話だけど)*1ウィルコ・ジョンソンを生で見てきました。嬉しすぎて泣きそう。ウィルコ特有の独特な前後に動きながら奏でるマシンガンギターを見て、うわー本物だぁと。もう信じられなかった。
 末期癌の宣告を受けて、延命治療を断り、「もう二度と君達に会うことはできない」と言いながら世界中を回ったのが2013年。当時浪人中だった僕は、ウィルコの膵臓を食べてあげさえすればウィルコは助かるのに!と毎日思いながらも、せっかく日本に来てくれたウィルコを見に行くことすらせずに、勉強しているフリばかりしてました。僕が膵臓を食べてあげる必要もなく、彼は奇跡の復活をとげ、2年前の2015年、再び日本に。しかし阿呆な僕はまたしても勉強するフリをして、ウィルコを見逃してしまったのです。好きな女の子に冷たくしちゃう素直になれない男の子みたいに。でも、昨夜四年越しについに出会えました。4年前も2年前もウィルコの来日をするしてしまった本当に阿呆な僕だったけれど、彼は見捨てませんでした。本当にありがとう。
 ちなみに学業とウィルコ・ジョンソンは両立できないという今までの教訓を生かして、ちゃんと5限をサボって行きました。5限は寝坊しちゃっただけなのは内緒です。

negiccoのベンザブロックのCMも懐かしいね...。

*1:2015年7月27日、Facebookに以下のような文章を投稿していた。この脚注が一番長いのはご愛嬌。

 2009年の12月25日の夜、大好きだったフジファブリック志村正彦さんの訃報を知って、悲しみに暮れながら、夜な夜な内村プロデュースの動画を見て、必死に笑おうとした。悲しみを忘れようと、必死に。でもTIMのレッド吉田の「ロドリゲス!」を見ても、「トントントントン!ワシントン!」を見ても、「ファイナルジャケット!」を見ても、全然笑えなかった。あんなに面白いネタを見ても笑えなかったのだ。そんな精神状態ではなかった。
 まあレッド吉田はどうでもいい。そんでそのとき、「今年亡くなった主なミュージシャンたち」っていう特集を発見して、忌野清志郎らと共にアベフトシ(ギタリスト)って書いてあるのを見つけた。とりあえず聴いてみるか。YouTubeでそのアベフトシさんが在籍してたというTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT(以下、TMGE)の「世界の終わり」という曲のLIVE映像を見てから、延々TMGEばかり聴いてた。
 好きなミュージシャンができると、その人のルーツをしりたくなるものだ。アベフトシが敬愛するギタリストは、The PiratesのMick GreenとDr.FeelgoodのWilko Johnsonらしい。2人ともいわゆるパブロックというジャンルの、アベと同じく鬼のようなカッティングをするギタリストだ。そしたら今度はDr.FeelgoodとThe Piratesに憂き身を窶してしまった。いつか彼らのライブを見に行きたいなあ日本に来ないかなあってぼんやりと思ったりしていた。
 しかし、翌年の1月、ミック・グリーンはアベを追うように亡くなってしまう。彼のギタープレイを一度も生で見ることなく、逝かれてしまった。そのとき決意したのだ、絶対にウィルコは生で見てやると。
 時は流れ2013年、ウィルコ・ジョンソンは末期の膵臓癌であることを発表した。やる予定のライブだけすべてやり切って、リタイア。アベフトシもミックグリーンも、ついでにいえば志村正彦も生で見ることができなかった僕は、ウィルコさえも見ることはできなかったのだ。
 ところが、ウィルコは最高にロックなやつだった。延命治療なんてせず、体が持つ限り俺はギターを弾き続ける!ってことで死ぬまで演奏し続けることを決意したのだ。日本にも来て演奏した。もちろん僕はライブに行く...はずだったのだが、当時浪人生の身であった僕は、勉強第一!とか言って、行かなかった。とんでもない阿呆である。ウィルコはもう死んでしまうんだ、見られないんだ。なのに僕は行かなかった。浪人なんて何年でもすればいい。ウィルコは命懸けでカッティングをしているのに。そこでちょっとライブに行かなかったからと言って合否に直結する話でもない。僕は阿呆だった。
 ただこの話はまだ終わらない。ウィルコを犠牲にして僕が京都大学に入学した僅か数日後、彼の膵臓にあった腫瘍は完全に除去されたのだ。まさかの末期がんからの復活である。
 そして今、ウィルコは来日している。苗場にいる。昨夜、フジロックで演奏したのだ。僕はもちろん見に行っているはずであった。
 。。。だがしかし!僕は今京都にいる。テスト期間中なのだ。テストがあるから京都にいる。結局はすべて僕の行動は己の身の保身のため。阿呆だ。本当に阿呆だ。しかも、京都にいるのにおそらくほとんど単位が取れない可能性が高い。これからテストなのにほとんど対策せず、こうやってFacebookを更新している。もう救いようがない。本当にウィルコに申し訳ない。
 そして今知ったことに、明日ウィルコは京都磔磔でライブをやるらしい。もう僕は何をしているのだろう。自らのふがいなさに涙が出てきた。ちくしょう。誰か譲ってくれよ、チケット。金なら出すかさあ...誰か....チケット...ウィルコ......